No.0285 – Organisation Voice 2001/04/13

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なににおいてもとまでは言わないものの、イタルデザインは世界をリードしている。どうしてこれほどまでに一国が、そんな最先端のパラダイムを持ち得たのだろうか。ラピタの最新刊を見てると巨匠ジョルジェット・ジウジアーロの特集が載っていた。日本の幾つかの美しいクルマは彼のデザインになるものが多いし、なんといってもVWのゴルフは彼の代表作だろう。時代を変えるデザイン。僕がもう20年近くも前に、この世界に魅せられたきっかけのひとつでもある雑誌に紹介されていたジウジアーロは、ほかのナニカで見たことがあるんだけど僕が欲しくてたまらなかった、ブルーのブルタコ・シェルパT250にまたがっていて、今のトライアルマシンには無くなってしまった美しい造形美を見せるタンクのラインを見せ付けてる。モンテッサのエンブレムは、親指を立てたハンドサイン、トライアル仲間に「どうだい!」と自慢げだ。たったそんなことが、人を好きにさせる。ジウジアーロという男が、いや失礼、巨匠が実に身近に、そしてとってもいい人みたいに感じられるから不思議だ。

ジョルジェットといえばもう1人は、ジョルジュ・アルマーニか。これも日本では間違った評価を得てしまった、アパレル・デザイン界の巨匠。まだ彼がメンズに参入する直前、彼のプレタポルテを手にした僕は、服飾の素晴らしさに立ち尽くしたことがある。これはもう20年以上前の話だ。彼はそれまでの紳士服にありがちな、ギスギスしたラインを崩すことによって、働く男たちを過去からの呪縛の開放に成功した、デコントラクテという非構築的なデザインで、まあいわば服飾界のジャンヌ・ダルクだったんだ、あっジャンヌ・ダルクは女性だったっけ。でアルマーニの服はじつはイタリアンっていうには少し違う。本来はむしろポルシェやメルセデスの印象に近いドイツの最速クーペみたいなものなんだが、バブル期の日本が、アルマーニ=フエラーリ=イタリアンマフィア、みたいな構図を作って、不動産屋と青年実業家の制服にしてしまったことは実に悲しい出来事である。ゆえに今は、チョット着る事がはばかられるくらいだから、これも悲しい。僕はイタリアンなデザインや製品が高いとは思わない。金額の総量で見れば高いけど、みんなが並んで勝ってるユニクロの方が、高い買い物についてるんじゃないかと思う。1900円のフリースは最終的に800万枚、152億円の売上なり。ひとつのものがこんなに売れるのはおかしい。きっとアパレル製品にもセーフガードがかかる。中国は怒る。訳がわからなくなって、感情的になる。経済的な衝突はあらゆる局面に及び、やがてそれは武力衝突にまで発展するだろう。(チョコっとノストラダムス風に読んでね)

ところで円安で、海外旅行もイタリア製品のお買い上げも、チョコット厳しくなっちゃったけど、海外市場ではメイドインジャパンは再び競争力を着けている。そんな日本製品に国際市場で危機を感じているのは、やはり中国のようなのである。ついに中国はここまで成長したのだ。つまり中国は日本やアメリカなどの企業の、コストダウン戦略のための生産地ではなく、もはや総合的に物を作る生産上の競合国になっていたのである。それにつけても思うのは、「もっとデザインを」なのである。「日本製は壊れない」とか「カッコいいだけのデザイン」の時代は終わってる。で、次は中国あたりからすごいデザイナーが、ごろごろ出るようになるかもしれないよ。21世紀のヘゲモニーは、軍事力よりデザイン力。

きょうの一枚
なぜか出て来た、1992年の菅原氏。まだ49か50歳のときだ。若い。パリルカップにはじめてカミオンのドライバーとなった年だ。モンキーにのって、ビバークの中を走り回るので、みんな迷惑なのだ。はじめて、大量なエアメカがついたもんで、ビバークについてもすることが無いんで、やっぱりビールを探しているんだ。この時のモンキーのライディングテクがこのTBIに炸裂するのである。


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