2015/08/14(水) 「秋の柔らかな日差しの降り注ぐモンゴル高原から」

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いつも思うことなのですが、旅は人を多感にします。なぜだろうかといろいろ考えてみたりもして自分なりに答えを見出したりもしました。人類に植え付けられた旅の能力や、その土地への順応力。これから険しく変化し続けるであろう地球環境や社会のことを考えるほどに、旅人であった人類はどこへ行ってしまったんだろう?と思います。

巨大都市を形成し、密集し、息苦しくないのだろうか?そこの営みのためには最も危険なおおよそ人類の手には余るような神の火を用いて享楽のエネルギーを生み出し消費し、いや浪費し続けています。

爛れた資本主義経済は、多くのことをシャンパンの泡で麻痺させているようにも見えます。イデオロギーなどという、案外人の巧みな話を信じ込んで論争し、筆を取り、やがて武器に持ち替えます。

つまり鈍感になるのです。鈍重になって、いくらそこで議論を交わしても、感受性に欠けた人々には、いま現在も、未来も、見通すことは出来なくなってしまっています。

唯一、旅人らだけが未来を見ているのかもしれません。自分たちの行くさきにある危機や恐怖を、そしてそれを超える希望を見つめ続けていると言えます。

その旅はいつ終わるともしれないけれど、突然のように今日終わることもあるかもしれません。それはこの大宇宙を旅する人類も相似形を描きます。同じなのです。そうなのであれば、どのように生き、どのようにふるまうかはおのずと決まるのではないですか。今の人びとの振る舞いは資本主義そのもののように見えます。少しお金ができると傲慢になり、そうでなくなれば卑屈になる。違いますか?

モンゴルではどこで周囲を見渡しても地平が見渡せます。ウランバートルとそれ以外の対比が、ことのほか地球的で面白く感じます。その地平には一度しかない自分の人生や、一度しかない人類の主としての繁栄も感じさせてくれます。そうしたことを感じるのは面白いのですが、歪んで見えているのは年老いた遊牧民たちと旅人だけのような気がします。

いま問いたいと思います。あなたは旅人ですか、と。

旅に出ると、多感になります。感情の振幅も大きくなりますが表面的には、都市の生活に比べると小さく見せているでしょう。だから旅人や遊牧民らは寡黙に見えるのかもしれません。おそらく彼らは心の中の自分の旅を楽しんでいるのかもしれません。

ラリーストたちの心もきっとそうなのではないかと考えています。


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