2006/11/29 (水曜日)

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四国遍路を世界遺産に・・・という運動が熱を帯びてきている。当のユネスコは、どちらかというと認定済みのものも、新規認定も減らす方向にあるということを何かで読んだ。この話、ボクは賛成でもあり、またそうでもない。年々増え続ける巡礼の旅人。世界は巡礼ブームなのだそうな。でも要は、世界遺産にすることによって、どうしたいのか?ということだと思う。建築物や自然遺産ならまだ話はわかりやすい。観光と保護だから・・・。

広島の原爆ドームも人類の負の遺産ながら、まあわかりやすい。保護をしなくても巡礼は残る。現代風に変化しながらも適切なサイズでキッチリと残っている。以前は政教分離だから・・・と腰の引けていた行政も、少しばかり手を入れるようになった。林道と交錯して伸びる遍路道に立つ、今にも自然に帰りそうな木のささやかな看板が、真鍮のプレートをはめ込んで「ワールドヘリテッジ」なんて自慢そうで立派なものになったら、なんか困る。

でもその四国巡礼、何度も書いたがTBIの原型はそこにあったのだ。
巡礼という行為と、無数に伸びるトレイル、そしてそれらでつながれる寺。四国という不思議で快適なサイズの島。険しい山河に伸びたかつての遍路道は、まさに苦難の道だったろう。それを世界遺産にするということは面白いが、不安も残る。こうした文化を遺産にするなら、モンゴルの遊牧民の暮らしも世界遺産にしたらいいと思う。完全にリサイクルされた彼らの生活こそ、大急ぎで守らなければならないかもしれない。余計なお世話かもだが。

というこの二つの話は似ているような気がする。そしてそのどちらもで、その自然にタップリと浸りながら、時にはそこで暮らす人々の手を駆りながらわれわれはラリーをしている。偶然だが、なんか根っこの部分では共通したものを持っている。

世界遺産TBI・・・世界遺産BTOU・・・そんな感じで行くのは、どうすか?ユネスコに怒られちゃうね。

きょうの一枚
てなわけで、TBIとお遍路さん。ここ足摺岬など太平洋側では、初夏。木々も亜熱帯・・・ふだらく渡海伝説によると、千年の昔から足摺岬は、海の彼方にあるという極楽浄土「ふだらくへ」の東門。この地からは、そんな浄土に向けて小船で漕ぎ出していく僧が多かったらしい。高知出身の直木賞作家、坂東真砂子の「桃色浄土」ではそんな哀しい物語が。2007TBIは、そんな遍路の旅を少し色濃く・・・。


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