No.0336 – Organisation Voice 2001/07/18

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昨日は、打ち合わせに向かうために事務所を出たところ、西の空がにわかに掻き曇って、すさまじい雷雨。「すごいやねえ。」「いやいや結構毎日こうなんですよ」だって。それにしても激しすぎる、確かに昔からこういうのがなかった訳ではないのだが。連日の異常高温。その異常な高温で熱せられた海水は大量に蒸発して、上空で大量の雲を発生させる。そして大量の雨になる、はたしてその熱量が大きすぎるのか。

毎年水不足に悩んでる松山の、たった一個の水がめ「石手川ダム」は、当然の厳しい取水制限をしてるのかと思いきや、さにあらず。当局関係者にとってはめでたくもあり苦々しくもある放水を続けてるみたいだ。

そういえば僕たちも試走中に、いまだかつて経験した事のない規模の強烈な砂嵐に遭遇した。エタップ3のビバーク予定地での事だ。設営を終えて、食事の支度にかかった頃からそれはやってきた、まるで鳴り物入りでやってくる戦慄のチンギスハーンの大軍勢のようにだ。それは、すべてのものを地上から剥ぎ取れとばかりに暴れ回る文字どうりの暴風と、大軍勢の馬が後ろ足で巻き上げるごとき微細な砂の粒子の襲来。もちろん全身には砂つぶて?が襲い、痛い!サンドブラストを掛けられてるみたいだった。

嵐が行過ぎた後、すべてのものの全ての場所は、砂の侵入を許していた。地上から剥ぎ取られたり、剥ぎ取られそうになったほとんどのものは人の手によって作られたものであることは間違いない。翌日もこのサンドストームは続き、砂の中で 1メートル先も見えなくなって立ち往生してしまった。自然の力も、日本とは比べようにないなあ。と思ってたら、この横殴りの激しい雷雨。日本の気候も、だんだんそれらしくなってくるのでしょう。こいつらには立ち向かうだけでは勝てない。上手く力を逃がせて、飄々と風になびく姿勢も必要かもしれない。


8月14日ETAP-2 ウンドルシレット~アルベイヘール
588.16km(ALL/SS)
「ゴビ、ラマ達の歩いた砂漠」
ウンドルシレットのビバークを後にひたすら南下を続ける。そのダイナミズムはET-1にも共通である。今年、モンゴルは革命80年を祝った。その革命とは、清朝末期の中国からの独立のようなものであっただろう。ロシアの力をたよってモンゴルは世界で2番目の社会主義の国となった。

しかし以来ロシアは、宗教的な弾圧を行った。チンギスハーンは、あらゆる宗教を容認したのに比べ、はるか後世の近代国家ソビエトが弾圧をする。そんな弾圧を受けたのがチベット仏教。その僧侶ラマ達は、苦難の歴史を刻み始めたのだ。その歴史に残る寺院のある草原の町を越えて、彼らの歩んだ足取りを丁寧にトレースしてみると、草原とゴビのはざまに、殺戮と信仰、信頼と恩讐、そんな20世紀の生んだ人類にとって最悪の世紀の姿も、静かに大地に帰ろうとしているのだ。

アルベイヘールが近づくと、再び緑の濃度が蘇ってくる。足元にエーデルワイスの群生がある。


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