我々の仲良しのトムチェックさんの車両です。彼は毎年、チェコからチェコ製のタトラでダカールに出てきます。人柄はとても温厚です。車両のエンジンは純正で空冷ディーゼルのV12気筒で20,000CCもあります。
このエンジンを使っているのはブラジルから出ているアゼベトさんだけて、何時も良い成績で走っているタトラのロプライスさんは別なエンジン〔水冷のV8〕を使ってます。タトラは四輪ともインデベンデントでエアーバックを2つ、Vの字にフレームに固定して、カンチレバでドライブシャフトを支持しており、バネ下重量を軽減しています。タトラの歴史は日本の50年も前からカミオンを作ってます。
4年ほど前にスペインでのSSでブレーキが加熱して、下り坂で効かなくなり、左の山に登ったのですが、そのまま落ちて来て、コースを完全に塞いでしまいました。すぐ後ろに我々が居たので右側のガケを降りていってゴールしたのですが、後続のカミオンは降りることが出来ずに、このステージはキャンセルでした。テルも2号車で出ていたのですが、皆で戻ったとの事です。
今回のアルゼンチンにも出てましたが、運転はとても上手なのですが、頑張りやさんなのですね。初めの頃に轍に取られて転倒してました。その後、挽回をしようと頑張ったようです。後半のSS中に下りに舗装路が出てきました。下り終わった所は右の急カーブです。なんと下を見たら彼の車が真っ直ぐにガケの下に落ちてました。
テルは私より先に居たので現場に遭遇したそうです。テル曰く、最初に救出したのはカマズのカビロフさんでテルも現場で救出のお手伝いをしました。ナビはテルにヘルプアスと言ったそうです。
ドライバーのトムチェックさんはロールバーに挟まれ身動きが出来ません。皆でロールバーをトラックで引きトムチェックさんを救出したようです。
そんな訳で人命救助をしたので、テルやそこにでお手伝いした車両には時間のペナルティが付きません。これもダカールの良いところですね。
下りだったので140km/hで曲がり切れずに転落です。写真で判りますか゛、サイドバーも切ってキャンプ地にナビが運転して帰ってきました。トムチェックさんはヘリで運ばれたようでリタイヤでした。
今回、気が付いたのですがアルゼンチンの砂丘地帯は冬には雪が降ります。アフリカの砂丘は雪や雨が降りません。
考えてみるとモンゴルの砂丘地帯も冬は雪が降るのです。
このあたりをしっかりと頭に入れて次回の大会に望みたいと思ってます。
著者紹介 菅原義正氏
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