ルートインフォメーション – Rally Mongolia 2017

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南ゴビ、ゾーモットへ。

「もう一度ゾーモットへ行きたいなあ」と、誰かのつぶやきを聞いた時、軽い電気ショックのようなものを感じた。

そうなのだ、やはりラリーモンゴリアはゾーモットなのだ。近年は、さまざまにフォーマットを進化させていく中で、リスク回避傾向が強化され、不用意に長い行程や困難なエリアへの進入が、自粛されてきた。しかし競技参加者も主催者もセイフティ・マージンは向上した。

ならばもう一度、チャレンジをしたい。人生観を揺さぶるような陽炎立つ大海原を渡るようなルート。奇岩奇石に支配される「恐竜の谷」。ゾーモットの西に広がる不思議なドライレイクの世界。これを深夜に見たらどんなだろう。未知への興味は好奇心という概念を超えて、夢幻の時空に広がって行く。

そうなのだ。これがSSERの描く「まだ誰も見たことのない風景」への挑戦なのだ。その困難は、あの神々しいばかりの大地に立って、必ず充たされる

 

■ETAP-1 13 AUG. 2017 ULAANBAATAR⇒DALANZADGAD
L:49.91km S:285.94km L:93.90km S:251.43km L:34.36km TOTAL:715.54km
「闘いが始まる。マラソンステージDAY1、ひたすらCAP180」

この日は、ひたすら南下するルート。グランドスタートのあとウランバートルの南からラリーは最初のSSを迎える。気をつけなければならない高速ダートで、抑え気味にマシンとナビゲーションを試す。CP-1の手前で、ややナビが難しいが、それ以外は比較的簡単だ。1日目のコマ地図はこれまでのボリュウムを踏襲している。SS-2は前半こそ高速ダートだが、次第に枯れ川や砂が増え、ルートは山、草原、砂と、変化に富んでくる。やがて乾燥し、砂が多くなる。ゴビ砂漠の中にいることが実感できる。慣れない枯れ川に注意しながら走行。CPの手前はナビゲーションも難しい。SSを走り終え町で給油。舗装路でビバークへ移動。短いリエゾンタイムを気にしながらゴールするとすぐさまパルクフェルメ。MOTOは翌日のコマ図を携行して、リエゾンの給油所などで巻き替えなければ、翌朝のスタート後に巻かなければならないために注意が必要。取り外しができるマップホルダーであれば問題ない。

■ETAP-2 14 AUG. 2017  DALANZADGAD⇒ZOUMOD
L:66.89km S:220.63km L:7.38km S:244.04km TOTAL:538.94km
「ラリーモンゴリアの聖地ゾーモットへ」

2日間で1000kmを超えるマラソンステージ。つまり、この間は全くサービスを受けることができない。メカニックなどのサポートカーの移動ルートも制限される。新しい舗装路で、SSのスタートまで移動。SS-1のスタート直後は低木が多く走りにくいが、やがてハイスピードになる。小さなデューン群の中を進むと町に着きフィニッシュ。SS-2、前半はバンピーでペースが上がらない。中盤はハイスピードだが枯れ川に集中しよう。涸れ川とは数十年に一度大量の雨水が流れるところで堆積する砂が深く柔らかい。そしてなんと小さな森がある。そしてドライレイク。やがて奇岩奇石の恐竜の谷だ。谷を抜ければ、ゾーモットが左手の夕陽に黄金色に輝いて浮かび上がって見える。

■ETAP-3 15 AUG. 2017 ZOUMOD⇒ZOUMOD
L:75.67km S:212.29km L:0.31km S:151.31km L:75.76km TOTAL:515.34km
「ゾーモットを巡る旅のパート1」

ゾーモットから、シンジンストまではリエゾン。しかしこのリエゾンは、充分に楽しめるだけの景観だ。シンジンストで給油し、町の外れからSS-1をスタートする。狭隘な山岳路を超え、乾いた湿地帯の端でCP。バンピーな路面を抜けると、左手に不思議な湖が見え、その先でSS FINISH。その街で給油し、すぐSS-2がスタート。路面はクラックが多いので注意。枯れ川の中を抜け、小さな集落を越えると、ゲートが見えてくる。そして、シンジンストにフィニッシュ。給油し、ゾーモットまでリエゾンで戻る。ルートはループだが二つのSSで構成されているために注意が必要。

■ETAP-4 16 AUG. 2017  ZOUMOD⇒ZOUMOD
S:119.94km TOTAL:119.94km
「モンスターに会いに行く」

時計が8/16の0時を指す頃にラリーがスタートする。いわゆる本格的なナイトステージだ。深夜の不思議な感覚をゴビの奥地で味わうかけがえのない体験になる。
※ゾーモットを西に出て反時計回りに周り、恐竜の谷を抜けゾーモットに戻るループルートです。
ゾーモットを西に向けてスタート。もう西の空に遅い太陽の残照はない。月の出はまだ少しあとだ。無人の大地を深夜に行くのは、時空を旅しているような感覚になる。左手にグランドキャニオンが現れる。ピストをはずすと転落のリスクもある。そして右手には象徴的な三角山が見えるだろうか。月は午前1時ころに南の空にある。下弦の月だ。注意が必要なのはハイスピードのピストを直角に曲がるところ。そしてプラトーを降りて枯れ川の中を進む。この枯れ川はやがて広がり、進路を見失ったらSSER OVOOを目指してGPS走行。その先もGPSでピストに合流するまで走行。ピストを進めば恐竜の谷の入口に。モンスターのいる谷を抜ければ、やがて遥か彼方にビバークの明かりが見えるだろう。

■ETAP-5 17 AUG. 2017 ZOUMOD⇒SAYHAN OVOO
L:74.38km S:258.42km L:1.25km S:186.09km L:19.45km TOTAL:539.59km
「緑のたおやかさと旧ソ連の圧政の証し」

通い慣れたルートで、シンジンストへ向かい給油を終えるとSSがスタートする。クラックや枯れ川が多いエリアを台形の山を見ながら進むと、町に。ここは、ナビゲーションが少し難しい。町には入らず枯れ川を進めば、そこにCP。そしてやがてメインピストに出る。ここから、ピストを進む。枯れ川やクラックが多い。遠くに町が見えSS-1をフィニッシュ。SS-2は緑がたおやかに濃くなり、ルートも快適で思わず笑みがこぼれてきそうだ。このSSは街の手前でフィニッシュすると川を渡り給油。ビバークまでは、それ程遠くない。そこの西の丘には旧ソ連の圧政に殉じたラマ教の寺院の跡などがありユーラシア大陸の悲しみを目にする。

■ETAP-6 18 AUG. 2017  SAYHAN OVOO⇒BAYANGOBI
L:24.31km S:226.83km L:2.01km S:223.20km L:24.37km TOTAL:500.72km
「晴れやかで、誇らしげな気分ゴビの一斉スタート」

一斉スタート地点まで移動。一斉スタート。横並びで、南下する。砂塵の中に入らないように気を付ける。そしてむきにならずに冷静に自分に対峙する。やがて左に曲がり、グランドキャニオンの横を抜け井戸も多くゲルも多い遊牧民が多いエリアを進む。ハイスピードを繋いで進めば、SS-1をフィニッシュ 。SS-2はさらに、緑が濃くなり、遊牧民も多い。そして遠くに、デューンが見えてくると、路面にも砂が増えてくる。川と緑とデューンが一度に見える風景が素晴らしい。そして、デューンを越えてSS が終わる。なんとビバークの前を通り抜けてGSへ向かう。給油した後、ビバークへ戻る。

■ETAP-7 19 AUG. 2017 BAYANGOBI⇒HARHORIN
S:256.70km L:96.64km S:157.77km L:39.59km TOTAL:550.70km
「ユーラシアの中心。世界帝国の首都」

世界史をひもとかずとも、かつて世界の中心はこの地であったことは誰もが知るところだ。無類の圧倒的な軍事的プレゼンスで世界を支配し、形を変えつつも19世紀末までは確かにモンゴル国の末裔のハーン・グルス(王国)は存在した。そんなことを考えながらスタートする。ビバークからSSはスタートするやすぐにデューンに入る。川と緑と砂が美しいエリアを抜け、山岳ルートでメインピストに出て、南下した後、ラリーが入ったことの無いエリアへ。ここも山岳だ。山を越えると、小さな湖の脇を走る。次に、大きな湖が見えてくると、小さな町の手前でフィニッシュ。舗装路のリエゾンで移動し、SS-2へ。ダートに入りSSがスタートすると、また、山に向かう。山をいくつか越え、美しい草原を越えると、大きな湖の畔へ。コンクリートの橋を超え、走りにくいダートを抜け、町をかすめながら進み、丘を越えていけば、SS-2を終える。そこは世界遺産「オルホン川と文化的景観」の地だ。まさかと思うが、「世界」という概念をはじめて創った世界の首都だった場所だ。

■ETAP-8 20 AUG. 2017 HARHORIN⇒ULAANBAATAR
L:51.93km S:140.32km L:214.94km P:25.88km TOTAL:433.07km
「西征の凱旋は、夕陽を背に」

3000kmのSSと1000kmのリエゾン。つまり4000kmの闘いは、ハラホリンからウランバートルを目指してフィナーレを迎える。ハラホリンから舗装路でSSスタート地点まで向かうと最後のSS。万感の思いや、おそらく微妙な全ごとのタイム差や、ひとりひとりがさまざまな思いを抱きながらカウントダウンを受ける。そして走りやすいピストで、大草原を進めば周りの山々が美しい。石山が現れ林に入って行く。路面は砂。林を抜け、川を渡り、砂の山を登れば、不思議な岩山。左手には、ピラミッドかと思う山。次の険しい山を登れば、CP。ここからの景色は、まるでラピュタの道のよう。眼下に行く先の道が見える。下りのタイトターンに注意して山を下る。草原を進み、背の高い草の先に舗装路が見え全てのSSが終わる。長い道のりの旅だが、ユーラシアの歴史から見れば一瞬の輝きだ。しかし、その旅から何か不思議な「永遠」のような時空を感じられただろう。

  


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