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DAY16 (07/06/22掲載) (NEW!!)
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「Go to work on an egg.(朝飯には卵を食え)」
1915年製のイタラ・51Bを駆って現在、パイオニア・カテゴリーの5位につける
#9のボウキディス/ロンゴ組にとって、これは間違いなく適切なアドバイスだが
英語に疎いロシア国営テレビのクルーにしてみれば、なぜ生卵を割って
大きな真鍮のラジエーターに落とすのか、字面の意味しか分からずに
何を言っているのかチンプンカンプン。
ラジエーターのポンプから水が漏れて地面に垂れている状況の中
また今日も1日走り切るための工夫か何かかと勘違いしたようだ。
・ここで今何が起きているのか?
・我々はどうしてここに居るのか?
・ラリーとは何?
・プリンス・ボルゲーゼとはいったい誰?
・彼は100年前にここオムスクで何をした?
・卵をラジエーターの中に落とすなんて妙な儀式と
・王子に敬意を払うことには何らかの関係があるのか?
・それともただの、ギリシャの変わった風習なのか???
(ボウキディス氏はギリシャのお医者さん)
数々の不躾な質問をかわし、イタラがガラゴロと音を立てて早朝の往来へ姿を消すと
メディア・クルーの標的は、次にラリー・ディレクターへと向けられた。
・インタビューの前にマイクロフォンのサウンド・レベルをチェックしていいか?
・朝食には何を食べたのか?
・ブッシュ大統領についてどう思うか?
・このインタビューをどれくらい続けていいか? w
ここオムスクでの早朝のスタートでは
数多くの‘運行前点検‘ならぬ‘運行前儀式‘が見受けられた。
何台かの車はセルが回らずに押し掛けでエンジンを目覚めさせ
何台かの車はクランクを直接回すスターティング・ハンドルでの始動にてこずり
#16のオースティンは、ここに来てボンネットが開いている。
もしあなたがロシア国営TVのクルーだったら、大いに心奪われることだろう。
ようやく復活に漕ぎ付けた、#6・ノックスのクルーの顔色がさえない。
蒸気機関車のようにシュッシュッと音を立てながらホテルを出て行く車の音は
もともとは4気筒のエンジンのうち、現在稼働中の3つのピストンが
まるでもう1発死んでしまったように聞こえる。
今日は平板な一日だった。
そこそこのターマック、しかし時々出現するバンプや穴ぼこの上を通過する度に
あのよく揺れたモンゴルでの日々がノスタルジックに甦る。
そして今度は雨、昨日は砂嵐に見舞われたが(場所によっては雹も)
午後からは氷雨となって気温は摂氏9度まで落ち込んだ。
オフィシャルのカメラマンは、それまで身に着けていたショート・パンツを
この冷え込みのせいでロハンのトラウザーに穿き替えたほどだ。
(Rohan:イギリスのアウトドア・ブランド)
北京を出発してから初めての降雨は、オープン・カーに乗る多数のクルーたちを
街に差し掛かる頃には体中ずぶ濡れにさせてしまった。
トンプソン組のクライスラーは、上手く幌を出したにもかかわらず
冷たく濡れそぼってしまい、ウィルキンソン組の黄色いロールスは
後ろから追い抜いていったトラックの爆風で、巨大なフードが半分無くなっていた。
何らかの理由で遅れをとったクルーたちは、引き続きラリーの本隊に合流する為の
惜しまない努力を続けている。
#2・ターナー・ハートレー組のイタラと#98・シリミンナ/インゴグリア組の
ベイビー・フィアットはモスクワで合流する予定とのこと。
#71・ダービー・ベントレーのレイトン−スクワイヤー/ビュレル組と
#106・サンビーム・アルピネのロバーツ組は
共にようやくモンゴルからの国境を無事に越えたとの情報が。
スケジュールからは何日もビハインドしているけれど、現在走行中。
#62・クレメンス/ニューマン組のクライスラーはステアリングを壊してしまったが
修理が完了するのを待って追いついてくるだろう。
クルーの中で最年少なのが、1959年製のポルシェ356Aを駆る
ジェラルド・ハリソンとアンドリュー・ドゥグラスの英国人コンビで
年齢はそれぞれ25歳に26歳、若いのに高尚な趣味の持ち主である。
車体後部に設置された空冷エンジンにより多くの空気を送り込むためか
彼らのポルシェには幌の収納部分のフードにタッパー・ウエアが噛まされていたが
ピストンリングを逝ってしまって現在スロー走行中
総合成績でも順位を大幅に落としてしまった。
今日、シベリアを横断するだだっ広い道を走っている時に
ふと、こんな考えが脳裏をかすめた:
「北京−パリで好成績を残すためには高額な車が必要なのか?」
1921年以前に製造された車のパイオニア・クラスだと
ラ・フランスが高くて1万ポンド(約250万円)で
2台出走、それぞれ17台中3位と4位の成績で
この日現在だとゴールドとシルバーのメダル・ポジション。
1941年以前に製造のヴィンテージ・クラスだと
購入価格が5千ポンド(約125万円)の小さなシンガー9・ルマン
(排気量933cc)が、出場車両の中で一番高額と思われる
2台の6500ccのベントレー・スピード6に10分の差をつけて
現在、クラスのベスト5に名を連ねている。
ムルトン組のアルヴィス・12/50は決して高価な車ではないが
現在ゴールド・メダルにカテゴライズされている。
このクラスの首位を走る#88・ウィリアムス組のシボレー・ファンジオ・クーペは
お値段が‘テン・グランド‘(1グランド=1000ポンド)で
マレーシアの王様が駆る#90のシボレーも大体同じ位の価格(約250万円)。
シボレーは首位だけでなくTOP3をガッチリKEEPしていて
いずれもゴールド・メダルの圏内と、今になっても国際競技で大活躍。
F1界のレジェンド、フアン・マヌエル・ファンジオがまだ若かりし頃
シボレーに乗ってレースをしていた1940年代以来のリバイバルか!?
1961年以前に製造のクラシック・クラスでは
なぜか‘当時のタクシー仕様‘にドレスアップされた
ハンス・リンドネルのフィンテール・メルセデスが5000ポンド以下の値段で
しかもミュージアム・コンディションのオマケつき。
(でもこの車、製造が1966年になっている・・・OKなのか?)
そしてそれよりもう少し安いのが、リチャード・ウォーストのジャガー・MKUで
このクラスでトップを争うこの2台は、これまですべてのCPをちゃんと通過し
リーズナブルな費用にもかかわらず、ゴールド・メダルの最有力候補。
クラス3位がギャリー・ステープルスのVWビートル・カブリオレ
同5位が部品を落としながらガラゴロ走るウィルキンソン組のライリー
ファロウズ組の過走行だけど絶好調のローバー・80と
笑いながらモンゴルの悪路を走ってたチャンス組のシトロエン・2CVも
それぞれゴールド・メダル圏内で走っている。
#112・ロベルト・チオディのアルファ・1600も
シルバーメダルながらここまで調子良さそう。
女性クルーの駆るサンビーム・ラピエはウン十万円の元手で
序盤にはトップ・グループに名を連ね、現在もシルバー・メダルの善戦ぶり。
これらはいずれも、高額車とは言い難いものばかりだ。