No.007 「三脚」- 菅原さんからの手紙 – 2009/03/12

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先日、山田さんが書いていたフランスのミトンさんのカーブの写真を添付しますね。この写真はかなり昔の絵葉書です。座って居る椅子に注目して下さい。全部、三脚です。

ミトンさんは私に昔のお話をしてくれました。彼のカーブの入ってすぐの右側に小さな暖炉があります。左側には高さ30センチ位の小さな三脚の椅子がありました。 この椅子は先祖から引き継いで居るのでスガワラ以外は座ってはいけないと言っていました。昔のカーブは女人禁制だったそうです。写真にも女性は写っていません。

畑仕事を終わった男連中が家に帰る前に、カーブで一杯やっていたそうです。結構、下品な話で盛り上がっていたようですよ。暖炉の上には今は使っていないお皿やナイフ、フォークが沢山ありました。お肉やお魚を持ち寄って暖炉で焼きながら白だの赤だのとやっていたのでしょうね。

三脚の椅子の座り心地は下が水平ではないのですが、とても安定していました。昔の人の知恵を感じました。

私の母を連れて行った時の事です。たぶん10名位居たと思いますが、それぞれの生まれ年のワインを開ける事になり、80歳の母の生まれ年のワインが開けられました。何も防腐剤を使っていません。驚きました。

テイストはアルコール分が抜けており、ジュースのような味だったのを覚えています。この事をパリの友人〔ホテルリッツの支配人〕にお話したら、そんなの聞いた事が無いと言っていました。

カーブには今も電気を引いて無く、全部ロウソクです。電磁波を嫌うと言っていました。大きな声を出すとワインの目が覚めるので静かにするようにとも言われましたよ。

前に進む事も大事ですが、昔からの事を大切にする事も必要だと感じました。

ミトンさんの本名は Remy Roguet でチュニジア・ラリーやファラオ・ラリーを立ち上げたフニュイさんの本名は Jean Claude Morellt で小説家でもあります。

世の中判らない事ばかりですね。


著者紹介 菅原義正氏

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